今回は非常に多くのユーザーがいるSalesforceとAsanaを連携することで日々の業務を格段に効率化させる方法をご紹介します。

2019年10月に新しい連携方法が公開されているのですが、日本では殆ど事例が無い( or そもそも知られていない?)ため、SalesforceとAsanaの両方の資格を持つ身として色々と詳しくご紹介します。

目次

  1. SalesforceとAsana連携で出来ること(概要)
  2. サンプルの利用シーン(ユースケース)
  3. よくある使い方の詳細
  4. SalesforceとAsana連携で出来ること(機能)
  5. 実際の画面イメージ
  6. Asanaならではの良いところ
  7. さいごに

1.SalesforceとAsana連携で出来ること(概要)

Salesforce視点も入れて一言で書くと、組織横断で発生する様々な営業関連のタスクを漏れなく自動で作成出来、効率的に提案から稼働まで進めることが出来るようになる、です。

Salesforceには「ToDo」というアクション管理のオブジェクトがありますが、基本的に

  1. Salesforceライセンスを持っている人が対象
    他部門(法務部門やデザイナー、エンジニア)がライセンスを持っていないとタスクを依頼出来ない
  2. 特定タスクをまとめて自動で作る、というテンプレート化の設定が物凄く難しい
  3. タスクの依存関係や階層関係を持たせられない

と、タスク管理で欲しい内容には応えきれていませんでした。特に1が大きいですね。各社とも営業部門だけで仕事が完結することは少なく、どこかで他部門と絡むことが殆どなはずです。
今回ご紹介する連携方法を使えば、上記の悩みをクリアして効率的に業務を進めることが出来るようになります。

2.サンプルの利用シーン(ユースケース)

今回はSalesforceをSFAとして使っている際の利用シーンを想定しております。
具体的には、Web制作会社、工務店、SaaSベンダー、Sier、等々です。

これらの企業に共通する営業フローを大雑把にまとめると、下記のようなケースが多いと思います。


多少企業によって異なるかもしれませんが、提案開始から受注、導入作業、稼働後のインタビュー(事例化)という流れになっております。

ちなみに提案開始から受注までの営業活動としてはSFAとして、BANTや決済者の合意までの手順等を管理していきますが、その辺りの説明は今回は省略します。

この一連の流れの中で、どんなタスクが発生していくのか、というのをまとめます。

3.よくある使い方の詳細

先程の一連の流れに合わせると、下記のようなイベント(タスク)が発生することが想定されます。

  • 法務:提案前の機密保持契約書のレビュー、提案時の契約書や覚書のレビュー
  • プリセールス:提案内容(導入(作業)内容や期間)のレビュー、導入チームとの調整
  • 導入担当:工数確保、導入(作業)PJのキックオフ、要件定義、実装、テスト
  • デザイナー/SE/エンジニア:特殊要件や追加機能開発の実装可否判断
  • 広報:お客様ロゴの利用確認、事例記事作成、記事のお客様レビュー

上記を先程の流れにマッピングすると、下図のようになります。

この全体像に対して、SalesforceとAsanaでどのようにアプローチ出来るかを次にご紹介します。

4.SalesforceとAsana連携で出来ること(機能)

2つの方法があります。どちらもAsana for Salesforce AppExchangeインストールをした上での話になります。

ちなみに、本AppExchangeの詳細は
https://appexchangejp.salesforce.com/appxListingDetail?listingId=a0N3u00000OMk0HEAT
にてご確認ください。
※AppExchangeのインストール方法等は今回は省略します。

この連携で出来ることは

  1. Asana for Salesforce AppExchangeの標準ウィザードでの設定
    →商談オブジェクトのフェーズ項目のみが対象。特定商談フェーズになった際に、指定したAsanaのテンプレートプロジェクト1つを自動作成する
  2. Salesforce プロセスビルダー(フロー)での設定
    →どんなオブジェクト、どんな項目でも対象。Asanaのテンプレートプロジェクトやタスクを担当者や開始日/終了日等を柔軟に自動作成する

の2つになります。

先程の一連の流れを更新すると下図になります。

2の連携方法を使えば、他にも

  • 提案先の企業の業種や規模、あるいは担当営業の所属するチーム毎に、自動作成するプロジェクトを変える
  • サポート部門がSalesforceの「ケース」オブジェクトの項目変更に合わせてAsanaにタスクを振る
  • PaaS的にワークフローな使い方をしている際に発生する押印/郵送業務、等も漏れなくタスク化する

等々、SalesforceとAsana、両方の柔軟性を活かした機能連携が可能になります。

5.実際の画面イメージ

それでは実際の画面イメージをご紹介します。
今回は下図の2箇所をご紹介いたします。

それぞれ
①:営業が進み、Salesforceで要件確認フェーズになった際に自動でAsanaのタスクを作成する
②:Salesforceで見事受注フェーズになり、自動でAsanaのプロジェクトを作成する
という内容です。


まず①のタスクの自動作成からご紹介します。
Salesforceの商談画面です。分かりやすいように項目を最低限にしております。

フェーズを「2.要件確認」に変えると

自動でタスクが作られます。
もちろん、Asana側でも、

こちらも簡単な列を作っておりますが、To-DoのところにSalesforceの商談名が含まれたタスクが作成されているのが発見できます。

しっかりと各担当者へ割り振ることも出来ております。
Asana側の設定になりますが、割り振り時の各タスクの期限を個別に自動付与することも可能です。上記の場合、デザイン担当と法務担当とで締め切りが異なるように設定しております。

各タスクに既に1つずつコメントがされておりますが、これは連携時の設定で

商談の項目情報をコメントに連携させることが出来ます。
設定でon/offを切り替えられます。
また、Asanaのタスク上で説明を追記すると

上記の情報は

Salesforce上のタスクでも同じように表示されます。
更に、このタスク上でコメントを残すと

この内容もしっかりと

Asana側のコメントに表示されます。

このようにタスクの自動作成のみならず、コメントの相互やりとりも可能です。
営業外のメンバーとも同じタスクを見ながら確認が出来るので非常に楽ですし、何よりSalesforceのライセンスを営業外のメンバーにも付与しなくても良い点が素晴らしいですね。

次に、フェーズを「5.受注」に変えると

先程は何もなかったプロジェクト欄に

Asanaのテンプレートプロジェクト(今回は導入プロジェクト、という名称のテンプレートを利用)が作られます。

もちろん、Asana上でも

自動で日付の調整が行われてテンプレートからプロジェクトが作られます。
プロジェクトの開始/終了日付はプロセスビルダーである程度カスタマイズが出来、タスクのアサインに土日を含める/含めない等の設定も可能です。

実際のプロジェクトの進捗はAsana側で管理していきますが、ある程度プロジェクトが進んだ際に、Asanaの「進捗」機能で状況を更新すると

上記の内容が

Salesforce側にもしっかり反映されます。

このため、営業担当は受注商談を開けば、導入プロジェクトがどこまで進んでいるのかを一目で確認することが出来ます。

プロジェクトメンバーはAsanaだけを見ながら各タスクを処理していけば、自然と組織横断での情報共有が可能になります。

6.Asanaならではの良いところ

ちなみに、営業メンバー外がタスクを処理する際の便利機能としてAsana側の有効な機能をご紹介します。

Salesforceを始めとして社内の色々なタスクを社員全員で対応しているときに、誰がどのぐらい何をしているのかを知りたい、というケースが出てきます。

その際に、Asanaでは色々な視点で各担当が抱えているタスクの量や進捗具合を様々な形でレポーティング出来ます。

例えば自チームのプロジェクト一覧を見たり、

関わっているメンバーの工数状況を一覧で確認することが出来ます。

これにより例えば導入チームの場合、上長や他のチームメンバーが、工数が空いているようであれば他の導入プロジェクトを割り振ったり、逆に工数が溢れていたり進捗が悪い場合は適宜タスクを巻き取る等のフォローに入ったりすることが出来ます。

7.最後に

最近は営業活動と言うと、the modelや更にFly wheelを加えた流れを組む企業が多くなってきているかと思います。

出典:セールスフォースドットコム社セミナー資料
出典:マルケト社セミナー資料

どんな商材の営業活動であっても共通するのは、上の2つの画像でもある通り、登場人物が営業メンバーだけで完結していないという点です。

そのため、日々の活動の中で発生する様々なタスクを総合的に管理する手法と仕組みが必要になります。

Salesforceというシステムが優れている理由の一つに、Salesforce.com社自身の最適な使い方に加えて世の中の様々なベストプラクティスな営業手法をシステム上で再現出来るという点があります。

Asanaも同様で、Asana社自身の最適なタスク管理手法に加えて世の中の様々なベストプラクティスなタスク管理方法をAsana上で再現出来る点が優れている点の一つです。

今回ご紹介した連携例を元に、今まで使うのを躊躇されていたSalesforceやAsanaがもっと身近に感じてもらえたら幸いです。

最後に、弊社ではSalesforceやAsanaの導入支援や、運用支援を行っております。
今回の記事以外にもそれぞれの単独での細かい使い方のご紹介も可能ですので、お気軽にお問い合わせください。