「フォロワーシップ」と聞いて、どのような印象をお持ちでしょうか。
リーダーシップと同じくらい、またはそれ以上に重要なのが「フォロワーシップ」です。フォロワーシップがビジネスや組織の成功に大きな影響を与えることを、この記事を通じてご紹介いたします。
フォロワーシップとは？
フォロワーシップの定義
フォロワーシップとは、リーダーを支え、協力して目標達成に貢献する能力や態度を指します。リーダーシップが「引っ張る力」であるならば、フォロワーシップは「支える力」と言えるでしょう。
フォロワーシップの重要性
「良いフォロワーになれない者は、良いリーダーにもなれない。」とはかの有名な アリストテレスが残した言葉と言われています。
すべてのリーダーはフォロワーだった時期を持っています。
そして世界には、リーダーよりもフォロワーの方がはるかに多く存在します。
リーダーシップに関する書籍や記事は数多くありますが、リーダーシップ開発において理解することが重要な概念であるフォロワーシップについてあまり言及されていません。
リーダーシップそのものは重要ですが、リーダーが適切で効果的なフォロワーにサポートされない限り、ビジョンは崩れ、ビジネスは失敗します。リーダーシップを効果的に発揮するには、フォロワーシップを理解することが重要です。
5つのフォロワーシップ
1988 年にロバート・ケリーは『In Praise of Followers』の中で批判的思考と積極的な行動という2 つのパラメーターに基づいてフォロワーを批判的思考と積極的な行動という2 つのパラメーターに基づいてフォロワーを 5 つのタイプに分類しました。
孤立型(疎外)
批判的思考力が高く、最も優れた考えを持つ一人である一方で自身が無視されているという感覚や、自分が力を失っていると感じて行動が抑制されています。疎外感は、認識の欠如、昇進のチャンスを外された、同じ役職に長く留まった、または組織内で「見すぎた」ことが原因である可能性があります。そして、疎外されているため、このタイプの人々は責任を負うことにあまり積極的ではありません。
受動型(羊)
消極的なフォロワーです。このタイプの人々は思考力が優れておらず、積極的に責任を取ることもありません。ケリー氏によると、こうした人々は、細かな管理環境や、過剰な管理と非難志向の文化にさらされているとされています。
従順型(イエスマン)
その言葉が示すように、このタイプの人々は「リーダーや上司は常に正しい」症候群の旗手です。
リーダーに決して疑問を持たないため、思考能力が最低と評価されてきました。
何としても争いを避けたいと考えており、極度の忠誠心でリーダーを守ります。ほとんどの場合、このタイプの人々はなぜ上司をサポートしなければならないのか疑問を持ちませんが、非常に忙しい人々であるため、他のフォロワーと比較して最も積極的な行動を示します。
生存者(現実主義者)
状況の方向性が見えると、より積極的にエネルギーを発揮して関与するため、最小限のレベルの独立した思考と関与を示します。現実主義者は批判的思考を示すことが不足しており、現状を維持することを動機としています。
模範型(スター)
ケリー氏によると、このタイプの人々はスターと言えます。
このタイプのフォロワーは独立した批判的思考者でありつつ、組織内での権力や役職に関係なく、すべての人々に対して積極的な行動を示します。
組織のニーズと期待について考え、変化に対処する準備ができていると同時に、変化をより影響力のあるものにするために自分の見解や考えを取り入れます。
フォロワーとリーダーの関係性
なぜリーダーになりたがるのかを尋ねるのは興味深い質問ですが、より興味深い質問は、なぜフォロワーになりたがるのかを尋ねることです。
なぜフォロワーと呼ばれる人になりたいのですか？
簡単な答えは、人は利益を得られるから従うということです。
人類の歴史の中で、最高のリーダーとフォロワーがいるグループは、劣ったフォロワーで構成され、リーダーシップが不十分なグループよりも生き残る可能性が高かったという研究結果があります。
今日の職場では、リーダーも同様の状況に直面しています。リーダーは、フォロワーを組織の目標と議題に合わせ続けるためにできる限りのことをしなければなりません。フォロワーが利益よりも心理的コストの方が大きいと認識すると、不平等が続くと離脱したり、離れたりする可能性があります。
そのため、リーダーはフォロワーとの関係性を強化するために、理想的なフォロワー像を指し示しつつ、フォロワーがリーダー何を求めているかを理解する必要があります。
理想的なフォロワーになるために
理想的なフォロワーシップを身に付けることは簡単なことではありません。
勇気と誠実さを示すことは、リーダーだけでなくフォロワーにも当てはまります。フォロワーは、従属的な立場にあるため、これらの資質がさらに必要になることがあります。効果的であるためには、フォロワーは自分が何を支持しているのかを理解し、たとえそれが仕事を危険にさらしたり、卑下されたり、自分は不十分であると感じたりすることを意味するとしても、自分の考えや意見をリーダーに積極的に表明する必要があります。有能なフォロワーは、責任を受け入れ、権威に挑戦し、変化に参加し、組織のニーズに応え、必要に応じて組織を離れる勇気を持っています。
少しそれぞれを掘り下げて紹介します。
責任を引き受ける
フォロワーは組織とその使命に対して個人的な責任と当事者意識を感じることが重要です。そのためにフォロワーは自分自身の行動とそれが組織に与える影響に対して責任を負います。能力のあるフォロワーは、リーダーや組織が安全、行動の許可、個人の成長を必ず提供してくれるとは考えません。代わりに、個人の充実感を達成し、潜在能力を発揮し、組織に能力を最大限に発揮できる機会を自ら生み出します。
挑戦する
フォロワーは調和を維持するために個人の誠実さや組織の利益を犠牲にしないことが重要です。リーダーの行動や決定が組織の最善の利益に反する場合、有能なフォロワーは挑戦的な精神を持ちます。
変革に参加する
フォロワーは変化と変革の闘いに対して、組織のメンバー全員が共有する相互経験の機会として捉えることが重要です。組織が困難な変革を迎えるとき、有能なフォロワーはリーダーと組織をサポートします。彼らは変化に恐れることなく立ち向かい、組織の再構築に向けて取り組んでいます。
奉仕し服従する
フォロワーは組織のニーズを理解し、それらのニーズに積極的に応えようとすることが重要です。リーダーが他者に奉仕できるのと同じように、フォロワーも他者に奉仕することができます。フォロワーは、リーダーをサポートし、リーダーの立場を補う分野で組織に貢献することで、リーダーに力を与えることができます。
離れる
組織や個人の変化により、フォロワーが特定のリーダーとフォロワーの関係から撤退しなければならない状況が生じることがあります。たとえば、多くの友人や大切な同僚がいる仕事を辞めるのは難しいとしても、人々は新しい挑戦が必要であると分かっているかもしれません。必要な変化を起こそうとしないリーダーや組織にフォロワーが直面している場合は、他のところに支援を求める時期が来ています。
フォロワーがリーダーに求める姿
人材育成に対する義務を理解しているリーダーによって優れたフォロワーが生み出されます。
リーダーにはフォロワーを、命令に盲目的に従ってサポートする受動的な羊として扱うのではなく、多くの人を巻き込めるような関係を築く義務があります。
フォロワーはリーダーに対して、誠実で、革新的で、インスピレーションを与え、有能であることを望んでいることが多くあります。
リーダーは信頼に値し、組織の将来を思い描き、他の人に貢献するよう鼓舞し、組織と人々に影響を与える問題において有能で効果的でなければなりません。
そして、リーダーはフォロワーからの次の3点を理解している必要があります。
明確な目標と方向性を示すこと
フォロワーは、チーム、プロジェクト、または組織がどこに向かっているのか、そしてその理由を明確に伝えるリーダーを必要としています。インスピレーションを与えるイメージを作成することは、方向性を設定するための 1 つの側面にすぎません。
フォロワーには、個人レベルとチームレベルの両方で、具体的で明確な目標と目的も必要です。
明確な目標を持つことで、人々はどこに注意とエネルギーを注ぐべきかを知ることができ、目標を達成したときに誇りと達成感を感じることができます。
方向性を明確にすることで、フォロワーは自分の行動を管理し、自分の進捗状況を追跡できるようになります。
さらに、ボーナス、昇給、昇進に関するリーダーの決定を理解するための基礎も提供します。方向性を明確にするもう 1 つの側面は、フォロワーが自分の個々のプロジェクトの役割の仕事がチーム、プロジェクト、企業というより大きな文脈にどのように適合するかを理解できるようにすることです。
頻繁、具体的、即時のフィードバックを行うこと
有能なリーダーは、フィードバックを恐れたり恐れたりするものではなく、改善と発展への道とみなします。リーダーがフィードバックを提供することは、リーダーがフォロワーの成長とキャリア開発を気にかけていて、その人の潜在能力を発揮できるよう支援したいと考えていることを示しています。
潜在能力を開発するためのコーチングを行うこと
コーチングはフィードバックをさらに一歩進めて、フォロワーのスキルを向上させ、キャリア開発を強化するのに役立ちます。コーチングは、特定のスキルを向上させたり、時間管理スキルの開発、個人の生産性の向上、新しい責任への準備などの特定の成長目標を達成することを目的として、フォロワーを指導または促進する方法です。
従来のマネジメントの役割である、フォロワーに何をすべきかを指示し、行動を指示して制御し、パフォーマンスを評価するのではなく、コーチングには、フォロワーが探索できるように力を与え、理解し学習するのを助け、サポートを提供し、邪魔な障害を取り除くことが含まれます。彼らの成長し、優れた能力を評価します。
まとめ
組織におけるフォロワーシップの重要な役割はますます認識されています。
人々はリーダーよりもフォロワーであることが多く、有能なリーダーとフォロワーは似たような特徴を持っています。
効果的なフォロワーは、独立性があり、組織内で積極的に活動しています。効果的なフォロワーであるかどうかは、疎外されたり、同調したり、消極的になったり、現実的な生き残りにならないかどうかにかかっています。
フォロワーシップの変革は必ずしも簡単ではありません。
効果的なフォロワーは、責任を引き受け、リーダーに挑戦し、変革に参加し、他者に奉仕し、必要に応じて組織を離れる勇気を示します。効果的なフォロワーになるための戦略には、リソースとなること、リーダーが優れたリーダーになるよう支援すること、リーダーとの関係を構築すること、リーダーを現実的に見ることが含まれます。
フォロワーシップは、リーダーシップと同じくらい重要な要素であり、成功への道を切り開く鍵となります。これからの行動計画として、自分のフォロワーシップのレベルを知り、それを向上させるための具体的なステップを踏み出してみてください。あなたの努力が、組織やビジネスを大きく前進させることでしょう。
