—   まずは貴社の事業内容と受講された方々について教えてください。

廣瀬様:RELATIONSは2009年創業の会社で、現在は法人向けコスト最適化と組織活性化のコンサルティングを行っている会社です。

RELATIONSの事業は8人の創業メンバーが以前居た会社の事業である鈑金修理のフランチャイズ事業を引き継ぐところからスタートしました。その後、すぐにコスト最適化コンサルティングを始め、会社の主軸事業となりました。
その後、新事業として、Webメディア事業の「SELECK」、マネジメント支援事業の「Wistant」、生鮮品取引プラットフォームの「みらいマルシェ」等が多くの新規事業が生まれていきました。

ですが、様々な事業が展開される中で、RELATIONSの方向性と一人ひとりの活動にズレが生じる場面が増え始めました。そこで、2017年にパーパスを変更し、2018年に「みらいマルシェ」を事業譲渡しました。

同時に会社のパーパスに基づいて、社員が活躍できる仕組みづくりにも着手し、2018年に人事評価制度を刷新し、2019年にはホラクラシーを導入しました。

翌2020年には創業メンバー達がシステムコーチングを受ける機会があり、創業メンバーそれぞれが描く未来や会社の方向性のズレを強く認識するようになりました。その後、創業メンバー間で深い対話が何度も行われ、最終的にSELECKとWistantについてはEBO(エンプロイー・バイアウト)という形でRELATIONSから切り離す形を決断をし、現在は法人向けのコスト最適化と組織活性化の2つのコンサルティング事業を展開しています。

組織活性化コンサルティングについては、コスト最適化を行っていくと、どうしても組織を変えないと着手できない領域も出てくるため、その支援を行う中で私たちが提供するサービスを体系化し、コンサルティングサービスとして提供しています。

仕組みを整えること、個人の内面を理解すること、組織としての集団の内面を改善していくこと、これらをさらに加速できるのではないかと思い、今回Management 3.0研修を受講しました。

—   今回Management 3.0研修を受講するに至った背景を教えてください。

廣瀬様:まず、会社の状況を説明させていただくと、さきほどの2つの事業のEBOのタイミングで、改めて「会社として何を成し遂げていくのか、RELATIONSの存在意義は何か」を全社員と話し合い、新しい方向性を定めるための取り組みとして「RE:START」と呼ぶ対話プロセスを約半年間実施いたしました。

これが現在のRELATIONSの方向性が定められるきっかけとなっていますが、その前年の2019年に導入したホラクラシーについても考えを深める良いきっかけにもなっています。

というのも、当初ホラクラシーを導入した頃は、組織の構造や仕組みを整えればあとは自然と自律分散的な動きが進んで行くだろうと考えていました。

しかし、RE:STARTを進める中で、個人の内面へのケアが必要だということが徐々に明らかになっていきました。

ホラクラシーは役割としてのロールと、人を分離する考えが基礎になっているのですが、当初はその形だけを組織に持ち込んだ結果、これまでの自分の思いがおざなりにされたと感じる人が多かった事実もあります。


その後、RE:STARTで多くの対話を行うことで、個人の内面、いわゆる感情や価値観へのケアの重要性も理解が進み、その上で組織としての内面、いわゆる文化や関係性の改善も扱っていきました。

今はRELATIONSとして、組織の内面を重視しながらホラクラシーを活用した自律型組織の運営ができていますが、私たちとして常に次の一手も考えており、その中でホラクラシー同様の自律型組織の運営手段の一つであるManagement 3.0の存在を知り、よりよい仕組みを整えること、個人の内面を理解すること、組織としての集団の内面を改善していくこと、これらをさらに加速できるのではないかと思い、今回Management 3.0研修を受講しました。

ホラクラシーと非常に相性も良いと思っており、ホラクラシー導入時にManagement 3.0の考えも一緒に学ぶことで、もっと円滑にホラクラシーが導入できたかもと思いました。

—   研修の中で印象に残っている内容はありますか?

石川様全体的に実感することを重要視していると感じました。

というのも、昨今、色々な場面で社会が複雑化しているというメッセージを聞きますが、じゃあ実際にどの辺が複雑なのかが説明し切れていないケースも感じます。Management 3.0も複雑性があることを主張し、その上で複雑性への対応策を紹介していますが、そこの解像度が高く、そして受講者にしっかり理解してもらえるようなワークが準備されていると思いました。

あとは、そのワークが結構気軽にできるイメージがありました。

実践に対して敷居が低いワークが多いので、現場というか、受講後に自分達の実際の状況に置き換えてワークをすることで、すぐに役立てられそうだなと思いました。

門倉様色々な組織の形をManagement 1.0や2.0、3.0で定義しているのは分かりやすかったです。振り返ってみると、前職は1.0の世界観だったと思いました。私たちメンバーは兵隊であり、上の立場の人によるパワーマネジメントが当たり前でした。

1.0や3.0の定義を聞いたときに、RELATIONSでもそうだったなと思い出しました。RELATIONSも創業時は売上至上主義で、1.0的な組織文化がありました。途中で2.0的な世界観に切り替わり始めていて、そこから、従業員がさらに生き生きと働けるように、ということで3.0的な世界観であるホラクラシーが導入されました。
ですが、導入当初は、いきなりそんなことをいわれても困るよ、という人が多くいて、反発も多かったです。

石川様:あとで振り返って分かりましたが、当時のホラクラシーの導入の仕方が良くなかったです。

門倉様Management 3.0も自律型組織に向けて利用できる考えや手法が多くあるため、ホラクラシーと非常に相性も良いと思っており、ホラクラシー導入時にManagement 3.0の考えも一緒に学ぶことで、もっと円滑にホラクラシーが導入できたかもと思いました。

一言でいうと、ホラクラシー導入後も悩んでいた、人に関するマネジメントという視点を捨てることができるようになりました。

—   研修実施後の取り組みや効果について教えてください。

門倉様:個人的な話として、私にとってはもの凄く効果があったと感じています。

一言でいうと、ホラクラシー導入後も悩んでいた、人に関するマネジメントという視点を捨てることができるようになりました。

この背景として、前職からマネジメントの対象は人だ、という認識を強く持っていました。そんな中、ホラクラシーが導入されたとき、人を対象にマネジメントしない、人とロールがそれぞれ存在するという理屈は分かれるけれども、これまで上手く行っていたやり方を捨てなければならないという葛藤が凄くありました。

例えば、外部へのコンサルティングや内部のチーム運営をするときに、チームメンバーに対してこう接すれば良いという道筋はある程度できていましたが、それはほぼトップダウンのやり方でした。それがホラクラシーになって、自律分散で進めていこうとなったときに、自分の一存では決められなくなることへの不安がありました。

これまで自分は人をマネジメントする、という、言わばホラクラシーとは逆行する考え方を持っていたのですが、Management 3.0の研修を受けて、人ではなくシステムをマネジメントするという考えと手法を学ぶことによって、ホラクラシーな組織の中での最適なマネジメントのイメージを持てるようになりました。

具体的には、チームメンバーに対して、その人自体ではなく、仕組みやロールの方を強く見るようになり、そのロールが活躍、成長できるにはどうしたら良いかという見方をできるようになりました。

廣瀬様:確かに、今、門倉が見ているサークルのメンバーは生き生きしているように見えています。一方で、やっぱりまだ人というかホラクラシーの視点に沿った運営ができていないサークルのメンバーやロールを見ていると辛そうな所もあります。

例えば、各プロジェクトのレビューが、個人への思いが乗りがちな場所でもあるので、そこで人とロールを上手く切り離せているかというのは大事だと感じています。そのような切り離しができるようになるためには、個人の内面での大きな変化や新しい組織スタイルへの納得感が無いと辛いと思います。

門倉様:ホラクラシーを導入する中で、マネジメントの方法の変化というのは誰しも直面する壁の一つだと思います。特に、これまで人の要素を重視するマネジメントをしてきた人にとって、これまでの手法を捨てなければならず、その上で今まで以上の成果を上げなければならない、という点で葛藤を感じる人は多いと思います。

ホラクラシー組織を実現する、というのは別に目標ではなく、手段でしかないのですが、私の場合は、予めティール組織の考えが頭に入っていて、自律型組織の良さや凄さを理解できていました。その理解があっても実際にホラクラシーを通して自律型組織に移行するときには先ほどのような葛藤があったので、その辺りの手助けとしてManagement 3.0があると良いのかもしれないなと思います。

石川様:私は可視化の重要さに改めて気付きました。

自律分散型の会社で重要なのは、命令ではなく対話をする点や、自分で自分を律するという点になります。その際に、Management 3.0の各ワークの中に散りばめられている対話に加えて可視化をするというプロセスは、今後の自律型組織のチーム運営で改めて意識していこうと思いました

人材のポートフォリオ的な考えなどManagement 3.0のScaling Organizational Structureの考えは活かしやすいなと感じています。

—   今後の組織方針や目標があれば教えてください。

廣瀬様:具体的な形はまだ決まっていないのですが、組織とメンバーの関係性を変えていこうか、という話は社内で出ています。

まだ固まっていないので表現がしづらいのですが、普通は会社があってメンバーが居ますが、メンバーがいるからこそ会社があるような。別に特定の誰かというわけでは全くないのですが、従業員という立場になると会社に雇われているという意識になり、それが普通ではあると思いますが、私たちが目指す方向性を考えたときに、果たしてそういう関係性で居続けるべきなのか、という問いに向き合い始めています。

たとえば、一つ一つのコンサルティング案件を「100%絶対に成功させたい」という内から湧き出るエネルギーを持ったメンバーが担当して進めていくことで、顧客企業に大きな価値をもたらすことができ、「会社に生命力を」というパーパスを体現できるようになります。このような支援ができる世界観の実現に向けて、一人ひとりが覚悟を持って顧客に向き合うための一つの手段として、会社と従業員の関係を見直す、ということを考え始めています。

その際に、どういう組織構造にしていくかを考えるときに、人材のポートフォリオ的な考えなどManagement 3.0のScaling Organizational Structureの考えは活かしやすいなと感じています。

門倉様私たちの会社のパーパスが「会社に生命力を」というパーパスなんですが、この実現に向けて色々考えていて、例えば仕事の進め方もそうですし、その結果としてのお客様の中で生命力をどう強くするか、というのは日々考えています。案件の内容やお客様の状況などで行うことは変わってくるのですが、その中の要素としてManagement 3.0のValues and CultureやMotivation and Engagementの内容はかなり活かせると感じています。

大前提として、まずは私たち自身が生命力に溢れている必要があると思いますし、私たちの行動や価値観がパーパスと連動している必要があると思っています。その辺りを上手く言語化、仕組み化しているのが、Values and Cultureの内容ですし、もう少し粒度を細かくして個人に焦点を充てた内容がMotivation and Engagementだったので、この2つの内容を活かした自社サービスの強化をできればと思っています。

自律型組織を取り入れたいというチームや会社のメンバー全員で受講することで、トップや上層部の思いを理解することができ、具体的な方法を理解することもでき、自律型組織への良いスタートを切れるようになると思います。

—   最後に、Management 3.0はどのような方にお薦めできますか。

廣瀬様端的には自律型組織を目指している会社にお薦めだと思います。
これまでのマネジメントはどちらかというと人に依るところが大きく、自律型組織というのは人と役割を切り離して組織運営をしていくことが比重として非常に大きいです。一方で「ではこれから、その新たに切り離される部分に対してのマネジメントをしていきましょう」となってもそのマネジメント方法が分からないことが多いです。

ティール組織を学んで形から入って、まずはフラットな組織だ、と言ってもほぼ失敗します。

これまで上下関係があったものが急に並列で協力し合いましょう、となっても人は機械じゃないのでスイッチ一つで動きが切り替わるわけではないですし、人には感情や思いもあります。

個人をケアしつつ、仕組みや役割をマネジメントしていく必要が自律型組織に求められるのですが、その辺りの進め方や考え方がまとまっているのがManagement 3.0だと思います。

石川様:自律型組織に変わっていくためにということで、トップや上層部が自律分散や権限委譲を進めていきたいという思いがあっても、主体となるメンバーはそもそも自律型組織がなんなのか、自律分散や権限委譲をどう受け止めるべきなのか、というのが分からないことは多いと思います。

Management 3.0は座学だけではなくワークも盛り込まれているので、自律型組織を取り入れたいというチームや会社のメンバー全員で受講することで、トップや上層部の思いを理解することができ、具体的な方法を理解することもでき、自律型組織への良いスタートを切れるようになると思います。

門倉様私はどんな企業に受けてもらいたいかと考えると、今まで上層部がメンバーに散々言ってきたけど全然メンバーが変わらなかった、という企業に受けてもらうと良いなと思いました。

Change Managementのテキストの中でピーターセンゲの「人は変わりたくないわけではない。変えられたくないだけだ」という言葉が紹介されていましたが、マネジメント活動において核心を突いた内容だと感じていて、言ってもメンバーが変わらないという状況はまさにこの言葉の通りだと思っております。

私自身が変わった、という話を先ほどしましたが、人は機会があれば変わると信じています。Management 3.0はそのような変わるきっかけになるコンテンツがたくさん用意されています。


みんなで受講して一緒にワークして、人ではなくシステムをマネジメントすれば良いんだ、自律型組織というのはこういう動きをすれば良いんだ、というのが腹落ちできると、その腹落ちも自分自身の意思であり、そこから出てくる新たな興味も自分自身の意思ですので、自分の意思決定が続くと、結果として大きな変化を自分から受け入れていくことになると思います。

決して誰かをコントロールするために、という訳ではないのですが、Management 3.0は人と組織が変わるきっかけに繋がりやすい内容になっているので、今まで色々な策を練ってきたけど人や組織を変えることができなかった、という企業にお薦めできます。