— まずは貴社の事業内容と受講された方々について教えてください。
小林様:クリーク・アンド・リバー社は、映像、ゲーム、Web、広告・出版、作家などのクリエイティブ分野でプロフェッショナルに特化したエージェンシー(派遣・紹介)、プロデュース(開発・請負)、ライツマネジメント(知的財産の企画開発・流通)事業を展開しています。
今回受講したメンバーは、当社の2DCGクリエイティブ制作を担う「2DCG PlaNetStudio」の中から、主にスマートフォンゲームやコンシューマー向けゲームの開発・運用、その他関連するデザイン業を担っているチームのリーダー達が参加しました。
最先端のマネジメントを学べる内容だと思い、受講を決定しました
— 今回Management 3.0研修を受講するに至った背景を教えてください。
石原様:きっかけは、上司からの紹介でした。
ちょうどその頃、私たちの組織体制が変わるタイミングでした。
今回受講したメンバーは元々マネジメント層ではなかったのですが、組織の人数も増え、より組織を束ねられるようにしようということで今年管理職になりました。
それぞれ、案件のプロジェクトマネジメントは行っていたのですが、人を見るというヒューマンマネジメントは体系立てて行ってこなかったので、そこを強化するということで研修を探していました。
上司がWebで偶然Management 3.0を見つけ、これなら組織が急拡大している今の状況に合った上で最先端のマネジメントを学べるだろうと思い、受講を決定しました。
小林様:あと、要因として大きかったのが、研修の内容にワークもあったことと、事前の体験会があったことです。
具体的には上司としても、私たちがデザイナーであるということを踏まえ、単純な座学だけではなく手も動かす方が合っているだろうと考えたことと、上司と私たちで一緒に事前に体験会を受講することで、これなら大丈夫そうという印象を持てたのが大きかったです。
チームメンバーと一緒にやるとさらに相互理解も効果も高まりそうだなと感じました。
— 研修の中で印象に残っている内容はありますか?
神山様:最初はもっと堅苦しいのかなという先入観もありましたが、最初のコンテンツ
のPersonal Mapをやったときに、ここまで周りの人を深掘りしたことがなく、一緒にワークしながら相手や自分を知ってもらうということができたので、この研修は楽しくなりそうだと思いました。
というのも、いわゆる研修に対する印象というのが、朝から晩まで8時間座りっぱなしでひたすら話を聞くイメージがありました。
面白くない、という訳ではないんですが、いまいち頭に入ってこないというか、聞いたという印象は残るものの吸収し切れていない感覚が残るような、せっかく時間を使っているのに勿体ないという印象がありました。
それが今回の研修ではワークもありつつ、ポイントポイントで自分の疑問や興味に関連している内容があり、すごく記憶に紐付いた部分も多く、全体的に受けて良かったという印象が強かったです。
西村様:私も研修が進むにつれて、なるほどと思うところがどんどん出てきて、だからこそチームメンバーと一緒にやるとさらに相互理解も効果も高まりそうだなと感じました。
特に、Team Competency Matrixでやったスキルとメンバーの分析は面白かったです。
今回はお店の経営というお題でしたが、実際の今のチームを題材にすることで、現状から一歩外の目線で客観的に自分達の分析ができそうだなと思いました。
石原様:個人的に一番ヒットだったのはBig Value Listです。
最初に自分が選んだ価値観は「楽しさ」や「面白さ」などで、「勉強」などは最後の方でしたが、いざそれぞれを比較して並び替えてみたら真逆になり、「勉強」や「勤勉」などが上位にきました。
自分で意識している価値観と無意識に大事にしている価値観の違いに気付くことができ、大変面白かったです。
あと、Values and Cultureの中で教えていただいた、企業理念の浸透の難しさも気付きになりました。企業理念が頭に入っていても、じゃあそこからどんな行動が生み出されていたのかを振り返るのに良い機会となりました。
何気ないことでもメンバー間で対話することが増えており、お互いの関係も良くなりつつ主体性も上がっていると感じています。
— 研修実施後の取り組みや効果について教えてください。
小林様:Management 3.0の概念の、人を管理するのではなく仕組みを管理する、ということが非常に参考になり、今はそういう視点で行動するようになりました。
あとはチームメンバーで仕組みを作る、対話をするということで題材を出し、それに対して、あなたはどう思うか、どう感じていますか、というディスカッションをやりました。
石原様:答えそのものを見つけるのが最優先ではなく、みんなで納得する進め方をみんなで決めていくという、Big Room Planning 的な要素を取り入れて、みんなで会話しました。
今回のお題は[中間層が育たない問題を考える]というテーマだったのですが、これまで、メンバーの意見を吸い上げる機会がなく、チームが運営されていたこともあるので、どんなディスカッションになるのか不安もありましたが、まずはやってみました。
結果として、かなり盛り上がり、メンバーからも好評で、もう一回やろうという声も非常に多かったので近々また開催する予定です。
西村様:横で見ていたのですが、チーム毎に視点が異なっていて非常に面白そうでした。
チームによっては、育て方を議論したり、人数の議論をしたり、あるいは会社や個人の視点もあったりと様々でした。
石原様:今回受講したメンバーである私たち自身が、研修を通してさらに仲間意識が高まり、結束力も強まったという話をしていまして、それをメンバーにも体験してもらおうという思いもありました。
実際、チームでのディスカッション後、何気ないことでもメンバー間で対話することが増えていて、お互いの関係も良くなりつつ主体性も上がっていると感じています。
その人に合った進み方というのを自分で考えて作り上げて実行していく、それができるようになる支援をできればなと思っています。
— 今後の組織方針や目標があれば教えてください。
西村様:メンバーの自律性が強くなることを考えています。
チームメンバーはそれぞれ何かしらなりたい姿がありますが、その姿への進み方というのは人によって異なりますし、私が全てをアドバイスすると経験値も少なくなってしまいます。そのため、その人に合った進み方というのを自分自身で考えて作り上げて実行していく、それができるようになる支援を私たちができればと思っています。
神山様:私のチームメンバーは、どちらかというと業界経験が少ない人達が多くいます。だからこそ、そういうメンバーに対して動きやすくなるような、選択肢が広がるように寄り添っていきたいと思っています。
今回、研修の中でアンコンシャスバイアスというか、複雑性思考の話を聞いて、自分の経験値というのはあくまで選択肢の一つにしか過ぎず、経験則の中でだけで凝り固まるのは危険だなと思ったので、メンバーに対して、自分の道に引っ張るというよりメンバー自身で色んな考えを持てるようにしていきたいなと思っています。
小林様:今回受講したメンバーに紐付くチームが3つあるのですが、その中で私と石原のチームではチームメンバーに対して、会社のためではなく自分のために仕事をして欲しい、と伝えました。もちろん、その先の結果が会社の利益に繋がっていると嬉しいですが、逆に会社の利益ありきで自分のためにならないことはしなくて良いよと伝えました。
石原様:これまでは会社の目標があり、そこに個人の貢献を求めていました。
個人が会社の中で働くということは会社の利益に繋がることが必要ですが、それが強すぎた部分もありました。会社のため、売上のため、というのが先にあると個人として納得がいかないことも出てくると思います。
そこで、メンバーが長く楽しく一緒に働ける環境は何かと考えた結果、まずはメンバー自身を優先して良いという環境が大事だろうと思い、このような話をメンバーにし始めています。
この話を伝えた後に、メンバーから1 on 1でフィードバックを受けた際には、こういうのを待っていたという声が多かったです。
一方で、突然言われても自分としてどう動いて良いか難しいという声もありました。
今、私たちが行っていることは、ある種の権限委譲でもあると思います。
その中で、先ほどのように突然委譲されても、すぐには動けないという人もいると思うので、私たちもいきなり全てを渡すのではなく、Delegation and Empowermentの段階的な権限委譲の話や、Management 3.0の中に出てくる1.0や2.0の世界観も伝えつつ補完していこうと思っています。
Management 3.0と名前が付いていますが、マネージャーだけでなく、チームメンバーみんなにとっても役に立つと思います。
— 最後に、Management 3.0はどのような方にお薦めできますか。
小林様:これからマネージャーになる方や、チームメンバーを初めて支援する、という方にオススメですね。先ほどありましたが、座学ではなくワークのある体験型の研修なので身に付きやすいという特徴がありますし、内容として全体的に相互理解が深まって仲良くなるものが多いと思います。
神山様:私は年次が高い人にもお薦めだと思います。
年次が高い人は経験が多い分、経験則の中で人との接し方を決めてしまっている部分も少なからずあると思いますが、どんどん組織に新しい人が入ってくるような状況ではこれまでの経験が活かしづらいことも多くなってくると思います。
新しい事を学ぶということも必要ですが、その前に、リスキリングではないですが、まずは凝り固まった自分の思考を柔らかくする必要があると思います。そういったことを始めたい方にManagement 3.0はお薦めできます。
石原様:Management 3.0と名前が付いていますが、マネージャーだけでなく、チームメンバーみんなにとっても役に立つと思います。特に、マネジメントの考え方の部分です。
Management 3.0ではみんなで仕組みを作り、みんなでその仕組みを育てていく、分散型の考えが紹介されていて、その話を聞いたときにマネージャーが全てを担う必要はないんだなと気付きました。
あくまで組織におけるマネージャーというのはその仕組みが上手く育つような支援者であり、組織の中の偉さや権限に基づく階層は重要ではない、重要なのは組織にいるメンバーみんなが働きやすい、納得感のある仕組みや文化であり、それが実現できる組織の形だ、という考え方が凄く印象的でした。
メンバー一人一人がその考え方を理解した上で、メンバー同士で協力して組織を束ねていけば良いと思うようになり、今はメンバーにどんどん主役になってもらうよう色々な話をしていて、仕組みを通して組織を育てている最中です。